効果は同じで「現況地目」を変えるための手続です。「登記地目」が変わるわけではありません。
現況が農地ではないと認めてもらえれば、これらの証明を使って法務局で登記地目を変更することができます。
登記地目と現況地目
これは通常の全部事項証明書(登記)
これにあるのは「登記地目」で「現況地目」は記載されてません。
これは評価証明書。税務課とかでとれます。
上の登記の土地とは違う土地です。
こっちには「登記地目」「現況地目」どちらも記載があり、上段の原野が登記地目、下段の畑が現況地目になります。
元々原野だったとこを農地として利用していた時期があったので、現況地目は畑だと判断されています。
なんと登記地目と現況地目が違うことがあるんです。気づかないですよねー。
登記には原野としか記載されてないので農地ではないと勘違いしてしまいますが、現況地目が畑なので農地です。非農地証明や現況証明の対象になりえます。
現況地目も原野に変更して、登記地目も現況地目も原野になれば農地法の規制から外すことができます。
比較イメージ
どちらも農業委員会に現況が農地ではないと確認してもらって発行されるものになります。
非農地証明願は単独の手続。
農地として利用できないことを確認してもらうもので、農業委員会の総会で審議されます。
現況証明願は農地転用手続のあとの手続。
申請した計画通りに工事完了して農地ではなくなったことを証明してもらうもので、既に農地転用が認められていれば再度総会にはかけず現状の確認だけになります。
通常は工事完了後に工事完了報告書と一緒に提出します。
非農地証明願 | |
状況 昔から農地として使っていない 農地として使えなくなった |
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農業委員会総会審議 あり |
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地目変更までの手順 ①非農地証明願(行政書士) ②地目変更(土地家屋調査士)
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現況証明願 | |
状況 農地転用が完了した など |
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農業委員会総会審議 ないことが多い |
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地目変更までの手順 ①農地転用手続(行政書士) ②工事経過・完了報告or利用状況報告(行政書士) ③現況証明願(行政書士) ④地目変更(土地家屋調査士) |
さっきの評価証明書の土地の場合だと、農地転用をせずに現況地目を原野にしたいなら非農地証明願を検討することになるでしょう。
登記地目は原野なので地目変更は不要です。
要件
非農地証明願 |
農地法が適用された日(昭和47年5月15日)の前から非農地であった土地 |
自然災害による災害地等で農地への復旧が著しく困難であると認められる土地 |
原則として20年以上耕作放棄され将来的にも農地として使用することが困難であり、農地行政上も特に支障がないと認められる土地 |
現況証明願 |
農地転用が認められて転用した土地 |
農地法が適用された日(昭和47年5月15日)の前から建物又は工作物等の用に供されていた土地 |
まずは農地の現状が確認できる写真や、いつから農地でないのかを証明できるものを準備して要件クリアできているか農業委員会担当者に確認することになります。
どっちが適用されるのか微妙なときもあったりするので、そのときも農業委員会担当者に相談して手続を確定します。
手続フローチャート
だいたいこんな感じのイメージです。
必要書類と注意点
出すのは願出書類と登記、公図、現地写真くらいです。
平日動けて写真のプリントアウトができれば一般の方でもそんなに難しい手続ではありませんが、非農地証明願で何十年も前から農地としては使えない状態という証明できる書類を用意しないといけない場合は手間がかかると思います。
- 非農地証明願や現況証明願は登記地目を変えるものではありません。農業委員会で認められたら必ず土地家屋調査士に依頼するなどして登記地目を変更しましょう。
- 農地から外れたとしても、今後ずっとそのままとは限りません。登記地目を原野などに変更していても、畑として使ったりすれば現況が農地となり再び農地法の適用を受けることになります。
- 農地から外れたとしても好き勝手に利用できるわけではありません。その土地が農振農用地だった場合、土地取引はできるけど農業用途以外での利用は厳しく制限されます。その他の開発関係の規制もあります。