風俗営業1号許可、略して「風営1号」と言ったりします。
キャバクラやスナックなど「接待」をする飲食店は警察署から許可をもらいます。接待をしないのであれば不要です。
いろいろな基準や制限もありますし、店舗図面の作成が特に大変な申請です。
風営1号の要件を理解できるようになると、よくあるキャバクラやガールズバーとかが風営法違反で摘発されたみたいなニュースで何が引っかかったのかが分かるようになります。
簡単に言うと普通の居酒屋のような接客であれば接待にあたりません。
接待の例
などなど。カウンター越しだとしても談笑時間などによっては接待とみられます。
「ガールズバー」や「メイドカフェ」などで接待をして摘発というニュースはよくあります。
ちな、アルコールの提供は要件ではありません。
店舗の名称や形態は関係なく、タピオカ屋さんでも隣に座って接客するなら風営1号をとらないといけません。
風営1号で接待の規制の他にも一般的に知られていないのは営業時間です。
24時以降も営業してるイメージですが営業時間は原則24時までとなっています。
24時までというのは「24時に閉店」ではなく「24時までに客を店外に出す」ということなので、営業時間24時までで申請すると、担当者から「客を外に出す時間ないよね?」とツッコミが入ることがあります。
営業時間は23時45分とかに設定し、24時には客が店内にいない状態にしましょう。
よくどちらにするか選択することになる深夜酒類届出との比較です。
風俗営業1号許可 |
接待 できる |
営業時間 原則24時まで |
18歳未満客の入店 禁止 |
食品営業許可 いる |
欠格要件(人的要件) ある |
店舗の場所 制限あり |
外から店内が見えないように しないといけない |
照明の明るさ 5ルクス以下はダメ |
照明スイッチ スライダックス(調光機能つき)はダメ |
客室が2室以上ある 1室16.5㎡以上 |
申請手数料(証紙代) 24,000円 |
立会い検査 ある |
営業開始できるまでの期間 約2ヶ月後 |
従業員名簿 備え付け義務 |
深夜酒類届出 |
接待 できない |
営業時間 制限なし |
18歳未満客の入店 午後10時以降から午前6時まで禁止 |
食品営業許可 いる |
欠格要件(人的要件) ない(食品営業許可にある) |
店舗の場所 制限あり |
外から店内が見えないように しなくていい |
照明の明るさ 20ルクス以下はダメ |
照明スイッチ スライダックス(調光機能つき)はダメ |
客室が2室以上ある 1室9.5㎡以上 |
申請手数料(証紙代) ない |
立会い検査 だいたいある |
営業開始できるまでの期間 届出から10日後 |
従業員名簿 備え付け義務 |
人的欠格要件(警察が身上調査、前科調査をします)
事業主本人や法人の役員が以下に該当すると許可を受けられません。
などなど
営業時間
原則24時まで。お客さんは24時までに出さないといけません。
場所
どこでも営業できるわけではありません。用途地域の制限があります。
営業ができない地域は
※国道、県道から25m以内なら営業できるところもあります。
営業できそう
風俗営業店や商業施設が多い地域など
営業できなさそう
住宅地
また、保護対象施設が近くにあれば営業できないかもしれません。
保護対象施設
などなど
以前は許可を受けられたところでも、周辺環境の変化によって営業できない場所になっていることもあるので、事前に確認しましょう。
繁華街のど真ん中ならまず大丈夫だと思いますが、周りに風営許可をとっているような店舗がないようなところだと要注意です。
営業所
洋室の場合、1室16.5㎡以上(1室しかなければもっと狭くていい)
メインの客室の他にVIPルームのような別部屋を作るのであれば16.5㎡以上ないといけません。
客室内に1m以上のイスや仕切りなどがないこと。
客室へのメイン出入口以外の客室の扉にカギをかけられないようにすること。
営業所内の明るさが5ルクス以下にならないこと。
基準以下の明るさになるといけないので調光機能があるスイッチ(スライダックス)はオンオフスイッチに。
などなど
左 スライダックス ×
右 オンオフスイッチ ○
不動産業者などからもらえるような建築士が書いた図面では壁芯で測量してるかもしれませんが、添付する図面は客室面積等は内壁で寸法を記載しないといけないので寸法の測り方が違います。
一応手書きでもいいですが、行政書士はJW-CADというフリーソフトやエクセルを使って作成している人が多いと思います。
客室とその他の部屋などの面積やイス、テーブルなどの配置。
照明の配置、数、種類、設置されている高さ、W数。
カラオケやテレビ、スピーカーの配置、数、メーカー、寸法など。
壁の厚さなど。
カウンター、イス・テーブルの数、寸法など。
実際に作る図面はこんな感じです。
風俗環境浄化協会か警察担当者が店舗を訪れて、提出した図面が実際の店舗内の状況と変わりないか、店舗内を測量したり、設備の位置、照明の明るさ、設備に問題がないかなどを調査します。
ここで図面と合わないところがあるなど問題があったりすると補正書を提出したりして対応することになります。
警察署の担当窓口で待ってるとき、提出した図面が実際の店舗と全然違ってて呼び出されたらしく担当者に問い詰められてる人を見たことがあります。全然違うのに出すって人はなかなかいないと思いますが、増築や改装などで保管してある図面と現状が変わっていることはあるので、図面があるからといって何も確認せずにそのまま出すのはやめましょう。
警察は許可後も巡回してちゃんと申請内容通りに営業してるかを確認します。
日テレNEWS
営業時間や店舗の内装が変わってないかもそうですが、従業者名簿を備えているかもチェックします。
従業者名簿は未成年者や外国人の不法就労などのチェックのため、住民票や運転免許証などと合わせて全員分を保管することになっています。常時出勤している方だけでなく、1日だけ出勤した方もです。
こんな感じの様式を、住民票や運転免許証などと合わせて保管することになっています。
従業者名簿がないということで指導を受けることが多いそうなのでしっかり備えておくようにしましょう。
①面談
お話をうかがって手続の内容などについて説明します。
建物の登記(全部事項証明書)、店舗図面、賃貸契約書など関係しそうな書類があればお持ちください。
食品営業許可(飲食店営業許可)をとっていなければ、その手続も必要です。
②調査
調査費を頂いてから店舗の視察や関係各所への確認を行います。
③調査結果報告・見積提示
調査結果と見積などについて説明します。
報酬の着手金を頂いてから書類作成に進みます。
④書類作成
図面作成にあたっては複数回店舗の測量・確認を行います。
初回の測量・確認は2時間ほどかかることがあります。
⑤申請
申請にあたっては申請者(経営者)も同行して警察担当者に面会してもらいます。
特に準備するものはありませんが、担当者が申請者に申請書類の内容について質問することがあります(25時まで営業できるのは何の日か分かってる?とか)ので行政書士に頼んでいても申請書類の内容についてはしっかり確認をしておいてください。
申請書類が受理されれば残りの報酬と諸費用などを頂きます。
⑥現地調査
風俗環境浄化協会が店舗内の調査を行います。
⑦許可(申請から2ヶ月ほど)
⑧営業開始