深夜酒類届出

正式名称が「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」略して「深夜酒類」とか「深酒」と言ったりします。

 

居酒屋、バーなど、午前0時~午前6時の時間帯に主にアルコールを提供する飲食店は警察署に届出をします。それ以外の時間帯だけ営業するのであれば主にアルコールの提供をする飲食店でも届出はいりません。

 

メニューに酒類があっても主食(米や麺など)の提供が主であれば届出なしで深夜にアルコールを提供することができます。ただし、例えばそば屋でも実際のメインはアルコールだと届出をすることになります。

アルコールを出してる飲食店で深夜酒類届出がいらないようにアルコールの提供時間を6時~24時にして深夜の時間帯は提供しないとしているところがありますね。

飲食店フローチャート
飲食店フローチャート

 

深夜酒類届出は許可ではなく届出ですが風営1号許可と提出書類の難易度はほとんど変わりません。

届出だから簡単というわけではないので気をつけましょう。

 

店舗設備によっては座席数や仕切りが多かったりして図面作成はこちらの方が大変になることもあります。

比較表

風俗営業1号許可

接待

できる

営業時間

原則24時まで

18歳未満客の入店

禁止

食品営業許可

いる

欠格要件(人的要件)

ある

店舗の場所

制限あり

外から店内が見えないように

しないといけない

照明の明るさ

5ルクス以下はダメ

照明スイッチ

スライダックス(調光機能つき)はダメ

客室が2室以上ある

1室16.5㎡以上

申請手数料(証紙代)

24,000円

立会い検査

ある

営業開始できるまでの期間

約2ヶ月後

従業員名簿

備え付け義務

深夜酒類届出

接待

できない

営業時間

制限なし

18歳未満客の入店

午後10時以降から午前6時まで禁止

食品営業許可

いる

欠格要件(人的要件)

ない(食品営業許可にある)

店舗の場所

制限あり

外から店内が見えないように

しなくていい

照明の明るさ

20ルクス以下はダメ

照明スイッチ

スライダックス(調光機能つき)はダメ

客室が2室以上ある

1室9.5㎡以上

申請手数料(証紙代)

ない

立会い検査

だいたいある

営業開始できるまでの期間

届出から10日後

従業員名簿

備え付け義務


主な要件

  • 接待禁止
  • 場所

どこでも営業できるわけではありません。用途地域の制限があります。

営業ができない地域は、第1種・第2種低層住居専用地域、第1種・第2種中高層住居専用地域などの住宅地です。

 

営業できそう

住宅地じゃない

 

営業できないかも

住宅地

 

  •  営業所

客室面積

1室9.5㎡以上(1室しかなければもっと狭くてもいい)

 

見通しを妨げる設備

客室内に1m以上のイスや仕切りなどがないこと。

 

施錠

客室へのメイン出入口以外の客室の扉にカギをかけられないようにすること。

 

照明

営業所内の明るさが20ルクス以下にならないこと。

基準以下の明るさになるといけないので調光機能があるスイッチ(スライダックス)はオンオフスイッチに。

 

などなど

 

左 スライダックス  ×

右 オンオフスイッチ ○

スライダックスとオンオフスイッチ
スライダックスとオンオフスイッチ

図面作成

不動産業者などからもらえるような建築士が書いた図面では壁芯で測量してるかもしれませんが、添付する図面は客室面積等は内壁で寸法を記載しないといけないので寸法の測り方が違います。

 

一応手書きでもいいですが、行政書士はJW-CADというフリーソフトやエクセルを使って作成している人が多いと思います。

 

風営1号許可と同程度の図面がいります。客席や客室、仕切り等が多い店舗だと大変な作業になります。

 

  • 平面図

客室とその他の部屋などの面積やイス、テーブルなどの配置。

 

  • 照明設備図面

照明の配置、数、種類、設置されている高さ、W数。

 

  • 音響設備図面

カラオケやテレビ、スピーカーの配置、数、メーカー、寸法など。

 

  • 防音設備図面

壁の厚さなど。

 

  • その他設備

カウンター、イス・テーブルの数、寸法など。

 

実際に作った図面のブログあります。

届出後に立会い検査もあります

警察担当者が店舗を訪れて、提出した図面が実際の店舗内の状況と変わりないか、店舗内を測量したり、設備の位置、照明の明るさ、設備に問題がないかなどを調査します。

 

ここで図面と合わないところがあるなど問題があったりすると補正書を提出したりして対応することになります。

 

警察署の担当窓口で待ってるとき、提出した図面が実際の店舗と全然違ってて呼び出されたらしく担当者に問い詰められてる人を見たことがあります。全然違うのに出すって人はなかなかいないと思いますが、増築や改装などで保管してある図面と現状が変わっていることはあるので、図面があるからといって何も確認せずにそのまま出すのはやめましょう。

その後も巡回あり

警察は届出後も巡回してちゃんと申請内容通りに営業してるかを確認します。

 

接待をしてないか、店舗の内装は変わってないかもそうですが、従業者名簿を備えているかもチェックします。

 

従業者名簿は未成年者や外国人の不法就労などのチェックのため、住民票や運転免許証などと合わせて全員分を保管することになっています。常時出勤している方だけでなく、1日だけ出勤した方もです。

 

従業者名簿がないということで指導を受けることが多いそうなのでしっかり備えておくようにしましょう。

深夜酒類届出の流れ

①面談

お話をうかがって手続の内容などについて説明します。

建物の登記(全部事項証明書)、店舗図面、賃貸契約書など関係しそうな書類があればお持ちください。

 

食品(飲食店)営業許可をとっていなければ、その手続も必要です。

 

②調査

調査費を頂いてから店舗視察や関係各所に確認を行います。

 

③調査結果報告・見積提示

調査結果と見積などについて説明します。

報酬の着手金を頂いてから書類作成に進みます。

 

④書類作成

図面作成にあたっては複数回店舗の測量・確認を行います。

初回の測量・確認は2時間ほどかかることがあります。

 

⑤書類提出(営業開始10日前までに)

受理されれば残りの報酬と諸費用などを頂きます。

 

⑥現地調査

警察担当者が店舗内の調査を行います。

 

⑦営業開始

書類提出から10日経過後に営業を開始できます。