建設キャリアアップシステム(CCUS、以下建キャリ)は、建設業に携わる技能者の処遇改善や現場管理の効率化を目指し、業界統一ルールにもとづいて事業者や技能者の情報を登録して能力や経験を確認・証明しやすくするシステムです。
対象は全事業者・全技能者・全現場で、国土交通省は令和5年度から全ての現場で完全実施することを目標としています。
全ての事業者 |
建設業許可事業者 |
建設業許可なし事業者 |
個人事業主 |
一人親方 |
全ての技能者 |
正規 |
非正規 |
見習い |
外国人 |
一人親方 |
全ての工事現場 |
公共工事 |
民間工事 |
大きい現場 |
小さい現場 |
工場作業 |
ですが、今んとこ登録は任意です。
登録しなくても建設業許可や許可更新には影響せず、罰則などもありません。
登録申請についてはこちらへ。
元請が登録すると決めたとか、元請から登録するよう言われたって話も聞くようになってます。
CCUS就業履歴蓄積へ、元下団体が相互協力確認/リーダー設置とタッチ推進
日刊建設工業新聞
推進の動きもどんどん出てきましたね。
概要
推進派の意見
YouTubeのCCUSチャンネルに動画があるんで参考になると思います。
メリットがよくわからない、うまく説明できないという方は観てみてください。
CCUSチャンネル一般財団法人 建設業振興基金
推進するのは建設業界の将来のためという考えがあるようです。
登録増えてます
建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年4月)
建設キャリアアップシステム
都道府県別技能者・事業者登録数、技能者登録数、事業者・一人親方登録数、現場ID登録数、就業履歴のデータが見れます。
技能者登録数130万人、事業者登録25万業者突破しました。
技能者は1/4くらい、許可事業者は半分くらい登録してるそうです。
沖縄県の登録事業者は3000超え。技能者2万人を突破。
こういうの内地より遅れるイメージですが、遜色なく進んでますね。
1月は現場ID登録数が爆増してます。
なんかあったんすかね?震災関連工事の影響?
3・4月と10月前後は毎年増えてるので繁忙期なんですね。
特典
求人にも推奨
ハロワで建キャリの記載ある求人見っけました。
事業者が登録したらどうなる?
事業者登録では、事業者名、代表者名、事業所所在地などの基本情報や、建設業許可業種、社会保険加入状況、所属技能者などの情報を登録することになります。
他の事業者からの情報の閲覧申請を承諾すると内容の確認をしてもらうことができるので、契約や何かの手続の際に書類を集めて見てもらうみたいな手間が減ります。
また、どういった事業者なのかが分かるので受発注の判断材料にも使われることになりそうです。
建設キャリアアップシステム
登録事業者は検索できるので、事業者だけでなく一般の方がリフォームやちょっとした工事を依頼できるところを探すとかっていうことも増えるかもしれません。
ただ、住所と事業所所在地が同じ事業者(自宅が事業所)は、個人情報保護のため検索でヒットしないようになってます。
事業者登録をしたら所属している技能者も登録しないといけない、ということはありません。
所属技能者の登録は任意です。
事業者登録だけしておくこともできます。
技能者が登録したらどうなる?
技能者の場合は、技能者カードが送られてきます。
これまで、ひと目で分かる資格と違って技能者の経験は証明しにくいものでしたが、システムに登録して技能者カードを取得すると、建キャリ運用している現場なら現場に入るたびに技能者カードを現場備え付けのカードリーダーで読取る(タイムカードみたいな)と、「就業履歴」のデータが貯まっていきます。
いつどこの現場でどんな仕事をしてきたのかが記録され、証明・確認できます。
カードにはレベルが1~4まで設定されていて、資格の取得や、貯まった就業履歴でレベルが上がる(ログインボーナスみたいな)ようにもなっています。
カード作成前の就業履歴は登録できないので、登録が早ければ早いほどカードに就業履歴を貯めやすいです。
転職してもそのままカードを使えるので履歴書代わりにもなりそうです。
就業履歴はシステム上で確認できるので「経験」の証明になり、雇用のミスマッチを防ぐことも期待されます。
もしかしたら、建設業許可申請で専任技術者(専技)要件を実務経験で証明する場合、今までは契約書とか請求書を120月分かき集めないといけなかったけどこれで確認できるようになったりするかも?
アプリで自分が行った現場とかを確認できるようにはなりそうです。
システムの使い方と必要なもの
元請 |
カードリーダー |
PCかiPadかiPhone ※なくても事後に就業履歴を登録する方法あり |
技能者 |
カード |
元請が現場にガードリーダーとパソコンかiPhoneを用意します。
技能者は技能者登録をしてカードだけ準備できれば大丈夫です。
①事業者や技能者がシステムに登録
②登録した技能者にカードを交付
③元請や上位下請が現場や施工体制を登録
④元請が現場にカードリーダーを設置
カードリーダーが無くても事後にシステムに手入力できる場合もあります。
⑤現場のカードリーダーで読取して就業履歴蓄積
顔認証などの連携システムや、もっと簡素化した方法も出てきてるみたいです。
メリット(と思う)
元請
- 事前に下請業者の情報を参照できる
システム上で下請業者の承認があれば、その下請業者の情報を見ることができるので、どんな現場をやってきたのか、技能者にどんな人がいるのかなどが確認できるので、現場に合った発注がしやすくなります。
- 現場情報を管理できる
いつ・どこの現場に・どの業者の・誰が入ったかがシステム上で管理できるので、確認作業が減ります。
- 雇用のミスマッチを減らせる
求人の際に技能者の承認がもらえたら経験や資格を確認させてもらえます。
下請
- 現場情報を管理できる
いつ・どこの現場に・誰が入ったかがシステム上で管理できるので、確認作業が減ります。
- アピール材料になる
施工実績や技能者のレベル、若手を育成しているかなどアピールできます。
- 雇用のミスマッチを減らせる
求人の際に技能者の承認がもらえたら経験や資格を確認させてもらえます。
技能者
- 就業履歴を管理できる
いつ・どこの現場に・どの立場で入ったかがシステム上で管理されるので確認されることや説明することが減ります。
- 経験や実力アピール
経歴や資格などを簡単に証明できます。
就業中はもちろん、退職してもカードは持っておけます。
- 正当な賃金を求められる
カードのレベルによって賃金目安があるので、不当に低い賃金で労働させられるのを防げます。
どこでどんな作業をしたかとか、どんな資格あるかとかがすぐに確認できる技能者アプリが開発中です。
デメリット?
- 登録のメリットを理解させずらい
- 費用がかかる
- 登録がめんどい
- 運用に慣れないといけない
- すぐに効果は出ない
まずは事業者登録だけでも
今のところ登録は任意なので、外国人技能実習生を受け入れているなどの事業者以外はすぐに登録しないといけないわけではありません。
ただ、今後システムが普及していくと元請や上位下請から急に登録してほしいと言われたり、従業員から登録してほしいと要請があるかもしれません。
いきなり登録してって言われて慌てて調べることになる前に、事業者登録だけでも済ませておくと、技能者登録もやりやすくなります。
国としてもシステム導入に先駆けて社会保険に加入しやすくなるように単価や賃金の引き上げなどを行ってきたようです。
システム登録が広まることによって、現場に入ってる事業者の人員管理の負担が減って、週休二日制などでの長時間労働是正や社会保険等の加入が広まり、業界全体の就業環境改善と今後の就業者確保に繋がったらいいですね。
建キャリの効果が出てくるのは5年10年先かもしれませんが、個人的にはこれで管理確認作業が減って、ちゃんと賃金評価がされるようになるならいい仕組じゃないかなと思ってます。
詳しい内容や問い合わせ窓口については建キャリのホームページを見てみてください。
資料とかの内容がどんどん変わるのでたまに確認しましょう。