建設キャリアアップシステム(CCUS、以下建キャリ)は、建設業に携わる技能者の処遇改善や現場管理の効率化を目指し、業界統一ルールにもとづいて事業者や技能者の情報を登録して能力や経験を確認・証明しやすくするシステムです。
対象は全事業者・全技能者・全現場で、国土交通省は全ての現場で完全実施することを目標としています。
建設キャリアアップシステム
全ての事業者 |
建設業許可事業者 |
建設業許可なし事業者 |
個人事業主 |
一人親方 |
全ての技能者 |
正規 |
非正規 |
見習い |
外国人 |
一人親方 |
全ての工事現場 |
公共工事 |
民間工事 |
大きい現場 |
小さい現場 |
工場作業 |
ですが、今んとこ登録は任意です。
登録しなくても建設業許可や許可更新には影響せず、罰則などもありません。
登録申請についてはこちらへ。
概要
登録された情報をシステム上で確認・証明できるようになるので、いちいち書類を提出したり、対面や電話でのやりとりをしなくてよくなります。
YouTubeのCCUSチャンネルに積極的に導入している事業者の動画があるんで参考になると思います。
メリットがよくわからない、うまく説明できないという方は観てみてください。
CCUSチャンネル一般財団法人 建設業振興基金
推進するのは建設業界の将来のためという考えがあるようです。
機能や取組紹介
技能者カードはレベルが1~4まであり、資格や現場でピッした履歴(経験)に応じて能力評価の申請をしてレベルアップできる仕組になってます。
カードのレベル別で賃金目安を示す動きもあります。
登録事業者の検索ができるので、事業者だけでなく一般の方がリフォームやちょっとした工事を依頼できるところを探すとかっていうことも増えるかもしれません。
ただ、住所と事業所所在地が同じ事業者(自宅が事業所)は、個人情報保護のため検索でヒットしないようになってます。
建退共も建キャリとの連携で電子申請に移行します。
将来的にスマホアプリで自分の情報が見れるようになったり、マイナンバーカードとの連携も予定されています。
登録増えてます
建設キャリアアップシステムの運営状況について(2024年10月)
建設キャリアアップシステム
都道府県別技能者・事業者登録数、技能者登録数、事業者・一人親方登録数、現場ID登録数、就業履歴のデータが見れます。
技能者登録数140万人、事業者登録27万業者突破しました。
技能者は1/4くらい、許可事業者は半分くらい登録してるそうです。
沖縄県の登録事業者は3000超え。技能者2万人を突破。
こういうの内地より遅れるイメージですが、遜色なく進んでますね。
5月は新規登録現場数が爆増して過去最高を記録。6月、7月は連続で就業履歴数が過去最高を記録。
システムの使い方と必要なもの
元請 |
カードリーダー |
PCかiPadかiPhone ※なくても事後に就業履歴を登録する方法あり |
技能者 |
カード |
元請が現場にガードリーダーとパソコンかiPhoneを用意します。
技能者は技能者登録をしてカードだけ準備できれば大丈夫です。
①事業者や技能者がシステムに登録
②登録した技能者にカードを交付
③元請や上位下請が現場や施工体制を登録
④元請が現場にカードリーダーを設置
カードリーダーが無くても事後にシステムに手入力できる場合もあります。
⑤現場のカードリーダーで読取して就業履歴蓄積
顔認証などの連携システムや、もっと簡素化した方法も出てきてるみたいです。
メリット(と思う)
元請
- 事前に下請業者の情報を参照できる
システム上で下請業者の承認があれば、その下請業者の情報を見ることができるので、どんな現場をやってきたのか、技能者にどんな人がいるのかなどが確認できるので、現場に合った発注がしやすくなります。
- 現場情報を管理できる
いつ・どこの現場に・どの業者の・誰が入ったかがシステム上で管理できるので、確認作業が減ります。
- 雇用のミスマッチを減らせる
求人の際に技能者の承認がもらえたら経験や資格を確認させてもらえます。
下請
- 現場情報を管理できる
いつ・どこの現場に・誰が入ったかがシステム上で管理できるので、確認作業が減ります。
- アピール材料になる
施工実績や技能者のレベル、若手を育成しているかなどアピールできます。
- 雇用のミスマッチを減らせる
求人の際に技能者の承認がもらえたら経験や資格を確認させてもらえます。
技能者
- 就業履歴を管理できる
いつ・どこの現場に・どの立場で入ったかがシステム上で管理されるので確認されることや説明することが減ります。
- 経験や実力アピール
経歴や資格などを簡単に証明できます。
就業中はもちろん、退職してもカードは持っておけます。
- 正当な賃金を求められる
建キャリが普及してカードのレベルによる賃金相場ができると、不当に低い賃金で労働させられるのを防げます。
デメリット?
- 登録のメリットを理解させずらい
- 費用がかかる
- 登録がめんどい
- 運用に慣れないといけない
- すぐに効果は出ない
まずは事業者登録だけでも
今のところ登録は任意なので、公共工事に携わっていたり、外国人技能実習生を受け入れているなどの事業者以外はすぐに登録しないといけないわけではありません。
ただ、今後システムが普及していくと元請や上位下請から急に登録してほしいと言われたり、従業員から登録してほしいと要請があるかもしれません。
いきなり登録してって言われて慌てて調べることになる前に、事業者登録だけでも済ませておくと、技能者登録もやりやすくなります。
国としてもシステム導入に先駆けて社会保険に加入しやすくなるように単価や賃金の引き上げなどを行ってきたようです。
システム登録が広まることによって、現場に入ってる事業者の人員管理の負担が減って、週休二日制などでの長時間労働是正や社会保険等の加入が広まり、業界全体の就業環境改善と今後の就業者確保に繋がったらいいですね。
建キャリの効果が出てくるのは5年10年先かもしれませんが、個人的にはこれで管理確認作業が減って、ちゃんと賃金評価がされるようになるならいい仕組じゃないかなと思ってます。
詳しい内容や問い合わせ窓口については建キャリのホームページを見てみてください。
資料とかの内容がどんどん変わるのでたまに確認しましょう。