めんどくさい農地転用の手続が終わるとホッとしますね。
駄菓子菓子、ここで安心してはいけないのです。その後の手続もやらないとせっかく農地転用したのに農地のままという訳のわからない状態になってしまいます。
農地転用許可後の報告って出しましたか?
農地転用許可を受けたあとは、その後の状況を農業委員会への報告をしないといけません。
報告をしてなかったばかりにややこしいことになってしまうケースも多いです。
実は・・・農地転用許可書の裏に許可後にやることが記載されてます(な、なんだってー)
例えば、農地を駐車場に転用すると、こういうチェックが。
2-1、2-2、3の3つに農地転用許可後の手続について書かれてます。
この許可では、農地転用後の手続について2-2、3の2つにチェックがついてます。
2-2「許可後の施設利用開始日から3か月後及びその後6か月後に本件許可地の事業遂行状況を関係市町村農業員会を経由して知事あて報告すること」
(あっ!農業「委」員会、知事あて「に」が抜けてるゾ)
許可後の施設利用開始日から3か月後及びその後6か月後ってのは、施設利用開始日から3か月後に1回目の報告、1回目の報告の6ヶ月後に2回目の報告って意味です。
なので、1回目の報告が遅れると、2回目の報告時期もそれだけ先延ばしになります。
単純に許可から3か月後と9か月後ということではありません。
3「地目変更の登記は、関係市町村農業委員会が利用の状況を適当と認めて発行する現況証明によること」
2-2の報告をして現況証明願という手続をします。ちゃんと使ってるからヨシ!ってなったら発行してもらえます。
報告や地目変更をしないことのデメリット
まず、放置してると農業委員会から連絡がくることもありますし、最悪、許可取り消しになります。
他には、新たに農地手続をする際に、以前、農地転用許可を受けたのに報告をしていないところがあると、まずそっちをちゃんと手続してからね。となります。
農地転用許可を受けていたとしても、他の用途にするために工事をする場合は、改めて農地転用許可を取り直さないといけなくなったり。
報告を怠っている間に申請計画と違う利用をしていると、報告自体できなくなってしまうことも。
また、地目の変更ができないので、農地法の規制がかかり続けます。
売買をしたくても農地法の許可を受けないとできません。
亡くなった親が地目変更まで手続してない土地を相続した子どもが土地を売ろうとしたら農地だと判明して困って相談に来ることや、何か他の許認可や取引で地目変更してないことが発覚してややこしいことになる(事務所用で土地建物借りようとしたら地目が畑だったとか)ことがあります。
見た目は農地じゃないから固定資産税は宅地とか雑種地扱いで課税されるので、まさか登記地目が畑だったとは思わなかったってこともあります。
報告とは?
許可後に ちゃんと計画通りに利用しているか、工事が進んでいるか報告してってことです。
報告を行うのは利用・工事をする側の申請者です。
住宅、店舗、墓、農業用施設、倉庫、工場、進入路など
- 進捗状況報告
工事完了までの許可日から3ヶ月後と、1回目の報告から1年ごと。
- 工事完了報告
工事完了後に遅滞なく。
資材置場、駐車場など
- 利用状況報告
施設利用開始日から3ヶ月後と、1回目の報告から6ヶ月後。
報告の必要書類は許可申請と比べるとかなり簡単です。
- 報告書
- 現地写真(4方向)
- 撮影方向が分かる図面
- 許可書のコピー
現地に写真を撮りに行く、写真を印刷する、農業委員会に持って行く、ことができれば大丈夫。
現況証明願
報告を終えて現況証明願という手続をすると地目変更ができるようになります。
現況証明願も上記の書類+登記+公図なのでそこまで難しくはないかと思います。
現況証明願の手続をするのは土地の所有者です。
なので、貸借で農地転用許可を受けた場合などは、利用・工事をする申請者が報告を行い、土地所有者は現況証明願を行うので、手続をする人が違うこととなります。
地目変更までの流れ
表にするとこんな感じです。
地目変更は行政書士はできなくて土地家屋調査士の仕事になります。
駐車場・資材置場など | |
① | 農地転用許可 |
② |
利用状況報告 (利用開始から3ヶ月後) |
③ |
利用状況報告・現況証明願 (1回目の報告から6ヶ月後) |
④ | 地目変更(土地家屋調査士) |
建築物・工作物など | |
① | 農地転用許可 |
② |
進捗状況報告 (許可から3ヶ月後) |
③ |
進捗状況報告 (1回目の報告後、工事完了まで1年毎) |
④ | 工事完了報告・現況証明願 |
⑤ | 地目変更(土地家屋調査士) |
報告だけしても地目変更はできません。
報告をちゃんと2回してるのに土地所有者が現況証明願を出さずに地目が畑のままだと、農地転用許可をとらずに違反転用してるんじゃないかと行政書士があらぬ疑いをかけてしまうおそれも(ほんとうにすみませんでした)
所定の報告をしたあとは、土地所有者に地目変更をするよう促してもらうようお願いします。
なんですぐ地目変更できないのか
農地法は農地を守るための法律なので、すぐに実行する計画はないとか資産保有目的や投機目的とかで大事な農地を減らされないよう規制しています。
駐車場で転用許可とって、許可後は砂利敷いて見た目だけ駐車場っぽくして、すぐ住宅用地として売る。とか、住宅で転用許可とって、資金不足で建てれんかった。
みたいなのを防ぐために、駐車場や資材置場ならある程度の期間計画通りに使っていること、建築物や工作物なら計画通りに完成したくらいに地目変更ができるようになっています。
忘れずに手続しましょう!
つっても、相談に来る人は転用後の手続についてちゃんと説明されてないっぽいこともあって、気の毒なときもあります。
まだ報告や現況証明願をしていない方は、農業委員会や行政書士に相談してください。
めんどくさくなる前に、めんどくささが増す前にやっときましょう。
自分で手続をするのが難しい方は、行政書士に手続を委任することもできます。
近くの行政書士事務所に連絡してみてください。