農地法では、農地の売買・貸借・贈与とかをするときは原則農業委員会の許可が必要で、許可受けてない契約は無効ってなってます。
農林水産省
「農地を売買又は貸借する場合(農地転用目的を除く。)には、当事者(譲受人と譲渡人)が、原則として農業委員会に申請し、許可を受ける必要があります。(許可を受けないでした行為は無効) 〔農地法第3条〕」
これは農地転用許可申請でも同じです。許可がとれなければ契約書の効力は発生しません。
無効ってヤバくないですか?普通そんなの知らないですよね?知らないで宅地とかと同じように契約しちゃいますよね?
そうなんです。知らずに契約しちゃうんです。なんなら代金も払っちゃうんです。
農地法の手続
農地のやりとりをするときの手続は、農業目的なら農地法3条許可申請、転用目的なら農地法5条(農地転用)許可申請です。
どちらも要件があって、申請すれば許可が出るというものではありません。
売買代金払ってるのに要件を満たせず名義を変えられないということも珍しくないです。
謎なパターンでは仮登記だけされてることもあります。仮登記では名義は変わりません。予約しただけってイメージです。
仮登記しても農地法の許可が出ることや名義変更ができることが保証されてるわけではないので安心して放っとかないでください。
売買したのに名義が変わってない!?
ということで、契約書を締結して売買代金も支払ったのに名義(所有者)が変わってないし変えられない。
農地の場合はこういうことが起こります。
ほとんどが「知らずに当事者間で契約をしてしまった」「親が何十年前に売買したみたいだけど名義が変わってない」というパターンです。
土地の所有権移転のための登記を司法書士に依頼しに行ったときに、農地法の許可がないと所有権移転登記ができないと言われて初めて農地法の規制を知るってケースが多いと思われます。
ほんで司法書士は農地法の手続ができないので行政書士に相談するよう促されます。
所有権移転をするには
農地法の手続はだいだい農業委員会というところで、名義変更などの登記の手続は法務局で行います。
法務局も農地法の手続をしないと名義の変更をさせてくれないので、たとえ売買契約して代金を支払っていたとしても名義変更を認めてくれません。法務局と農地法はツーツー。
農地法の手続をして運良く許可を受けられれば所有権移転ができるようになります。
農地の契約はいつしたらいい?
農地法の手続の直前にするのが一番です。
でも、農地法の手続しないと契約無効ってことは事前に契約する意味なくない?ってなりますよね。
農業委員会には契約書のひな形を用意してくれてるところもあり「この契約は農地法の許可がおり次第、有効になる」「許可出なかったら契約解除」みたいな記述がされてます。
こういう内容にしておけば安心ですね。
上記の記述は必須ではないので、何十年も前の契約書でこのような記述がなくても申請にはそのまま使えるかと思います。許可要件をクリアできれば許可は出ます。
知らんもんは知らん
事前に知ってればそれに越したことはないですが、農地法なんて知る機会なかったら分かるものではありません。
知らずに農地の売買や貸借などをしちゃったらそれはもうしょうがないので農業委員会や行政書士にどうにかなるもんなのか相談しましょう。
よくあることなので農業委員会も普通に話を聞いてくれると思います。
許可要件がある以上、許可を受けられないこともあるので、もしトラブルになるようだったら弁護士に相談です。