農地転用の相談を受けた際に、たまに言われる言葉です。
相談者としては大丈夫って言われて安心して、行政書士に手続してもらえれば目的を達成できると思ってるんですが、調査をすると大丈夫じゃないことがよくあります。
農地転用はややこしい
農地転用には農地法だけじゃなく、いろんな法律や手続が絡んできます。
農振農用地 |
法律|農振法 |
手続|農振除外手続 |
管轄|市町村 産業振興課や農政課 |
農地 |
法律|農地法 |
手続|農地転用手続 |
管轄|市町村 農業委員会や農政課 |
市街化調整区域 |
法律|都市計画法 |
手続|開発許可 |
管轄|県・市町村 都市計画課とか |
接道 |
法律|建築基準法 |
手続|建築士に確認 |
管轄|県? 建築班 |
これはほんの一部です。こういった手続や要件を全部クリアしないと農地転用できません。
大丈夫と言ったのは誰?
地主・知人が大丈夫って言ってた
こう言われた案件で大丈夫だったためしがないです。
不動産業者が大丈夫って言ってた
不動産業者でも農地手続の知識・経験が豊富とは限りません。
特に都市部の不動産業者だと農地を取扱うことがなかったり、経験あっても届出(許可より緩い)しかやったことなかったりもするので、勘違い・見落としなどがあるかもしれないです。
役所の担当者が大丈夫って言ってた
その担当者の管轄的には大丈夫かもしれませんが、他も含めて大丈夫と言ったのかは分かりません。
農業委員が大丈夫って言ってた
農地法的には大丈夫かもしれませんが、他も含めて大丈夫と言ったのかは分かりません。
建築士が大丈夫って言ってた
都市計画法や建築基準法的には大丈夫かもしれませんが、他も含めて大丈夫と言ったのかは分かりません。
ネットで
誰が言ってるんですか?何回手続経験してる人ですか?最新の法令に基づいた情報ですか?ローカルルールとか分かってるんですか?都合のいい情報だけ拾ってませんか?
AIが
AIは現地見に行けません。
占い師(ユタ)が
・・・
行政書士が大丈夫って言ってた
微妙だと思います。
行政書士も農地手続の経験が豊富な人ばかりではないので、行政書士が大丈夫と言うなら大丈夫。
とは言えません。
自分は行政書士の中では農地業務の経験ある方ですが、今でも全ての案件をわけわからんと思いながらやってる状態で、見落としがあって問題が発生したり、あとから他にも手続や必要書類がいることが判明したりします。
そういうことがないように事前にいろいろ調査しますが、それでも完璧にすることは難しいです。
要件などで今まで勘違いしてたことが発覚したり、あとから「うぇっこんな規制あんの?確認してなかったけど手続いらん範囲だったわ。セーフ」ということも。
農地法手続のあとの司法書士業務や土地家屋調査士業務のとこで問題出ることもありますしね。
大丈夫かどうか判断してもらうには
大丈夫かどうか判断するには、現状が確認できる書類、現地の状況、関係してくる人や業者、契約関係など、いろいろな情報がいります。
相談される側は、そのときに提供された情報の範囲でしか判断することができません。提供された情報が不十分だと正確でない回答になることがあります。
つまり、正確な回答をもらうには相談する側が判断に必要な情報を全て提供しないといけないんです。
聞かなかったことは問題ないから聞かれなかったと解釈されてもおかしくありません。
例えば、土地の登記と公図と地図を持って農業委員会窓口に行って、農地転用できる農地だと回答をもらいます。
でも、現況が違反転用状態だということを伝えていないと、申請したあとに農業委員が現地視察をした結果、やっぱ農地転用認めない。となることも。
提供情報が不十分だとこういうことが起こります。
普通に生活していて農地手続に関しての知識・経験は身につくことはないので、何が必要な情報なのかなんて分からないですよね。
なので、農業委員会に相談に行っても正確な回答をもらうことはできません。伝えた情報の中での回答になります。
それでもたまたま大きな問題が出ずにうまくいくということはありますが、それは運が良かっただけです。
確認確認また確認
知識・経験があっても相談を受けた際にその場で回答することも無理です。
必ず現地調査や、いろいろな書類の収集、関係者との調整などがいるので、口頭での聞き取りだけでは足りないのはもちろん、登記・公図・計画図面があるくらいでは判断できません。
司法書士・土地家屋調査士・建築士などにも確認しておいた方がいいことが出てくることもあります。
十分な調査・確認をしないで安易に大丈夫という人の言葉を信じないようにしてください。
その言葉を信じて手続や工事や契約を進めて、余計な手間や費用がかかったり、既に代金を支払ったのに進むことも引くこともできない状態になってしまった事例はいくつもあります。
逆に、ダメって言われたけど実はいけるってパターンも稀にあるので適切なところに相談しましょう。