· 

農地所有適格法人(農業生産法人)

元々は農業生産法人という名称でしたが要件が緩和され、農地所有適格法人と名称が変わりました。できることは同じです。

のうちしょゆうてきかくほうじん・・・なんか言いにくいですよね。農業生産法人のままか、もっといい感じの名称なかったのか。

略称ないんかな?のうてき?

こないだなんかで「適格法人」と書かれてるのを見っけました。なるほろ。

普通の法人との違い

一般法人でも農地を「借りる」ことはできますが、「所有」はできません。

それが農地所有適格法人だと、農地を所有することができます。つまり農地を買ったりもらったりすることができます。

 

また、法人名に「農地所有適格法人」「農業生産法人」などと入れるかは任意です。

農地所有適格法人(農業生産法人)

農地所有

できる

要件

厳しい

認定

なし

一般法人(農業法人)

農地所有

できない(借りることはできる)

要件

緩い

認定

なし


農地所有適格法人は農地持ってなくてもいいし認定もない

農地所有適格法人って名前からして農地いっぱい持っててバリバリ農業やってるとこじゃないといけなさそうですが、そんなことありません。

 

これ名称考えてつけたんだなーと思ったんですが、農地所有法人じゃなくて農地所有「適格」法人となってるので、農地を所有するのに「適してる」法人ってだけで、「所有してる」というわけではないんですね。

 

あとクソややこしいことに、公的機関からの認定などはありません。ないです。ないんです。ありそうですよね。え?ないの?ないんです。認定とかはありません。マジで?マジです。

 

農地を所有したいということで農地法3条許可申請すると、農地所有適格法人要件を満たしてるかの審査がされます。

許可が出て農地を所有することができても、あくまで「今回の申請時点では農地所有適格法人の要件を満たしていた」というだけです。

 

1ヶ月後、また農地を買いたいと農地法3条許可申請すると再度要件の審査が行われ、農地所有適格法人の要件を満たさなくなっていれば許可はおりません。

 

ですので、「株式会社農業生産法人〇〇」という名称のとこが多くありますが、あれは自称です。

申請時に要件を満たしてなければ農地所有適格法人(農業生産法人)とは認められませんし、名称に農業生産法人と入ってなくても要件を満たしていれば農地所有適格法人です。

4要件

農地所有適格法人には4つの要件があり、新規設立法人でも既存の法人でも要件を満たせば農地所有適格法人となります。

 

①組織形態要件

農事組合法人(2号のみ)、株式会社(非公開のみ)、合同会社などの持分会社。

 

②事業要件

主な事業が農業・農業関連事業(販売・加工なども含む)

既に農業を行っている法人は直近3年の農業・農業関連事業の売上が法人全体売上の過半。

新規参入の場合、申込の年の実績か見込と2、3年後の売上計画。

 

③議決権(株主・構成員)要件

農業関係者が議決権の過半を占めていること。

 

農業関係者=農業常時従事者や農地を貸し付けている個人・組織など。

 

④業務執行役員(取締役)要件

過半が農業に常時従事(原則年間150日以上)し、役員または重要な使用人(農場長など)のうち1人以上が原則年間60日以上農作業に従事。

 

農業 =この農業事業に関連すること(農作業・マーケティング・経営・企画など)

農作業=農作業

 

農業常時従事者は認定農業者などでなくてもいいです。

 

農地を取得するには、4要件だけでなく「農地所有適格法人4要件+農地法3条許可要件」のどちらもクリアすることが条件です。

 

農地の売買・貸借・相続に関する制度について

法人が農地の権利を取得する場合の要件

農林水産省

 

とりあえず既存法人で農地を借りて農業をしてみて、農地を買うときまでに農地所有適格法人としての要件を整える方法もあります。

他業種からの参入は注意

不動産業などもしている法人をそのまま農地所有適格法人にしたいとなると、農業事業で売上の過半を占められるのか?という疑惑をもたれます。

 

また、建設業許可を受けている建設業者が新規で農地所有適格法人を立ち上げる場合に、経営管理責任者や専任技術者を農地所有適格法人に移すなどをすると建設業許可の常勤要件が維持できなくなるかもしれません。

農業委員会や農業会議などは他業種の許認可等は管轄外なので知識がない可能性が高いです。相談してもそこまで考慮したアドバイスはもらえないでしょう。

 

農地法以外の許認可のことも知識がある行政書士に相談することをオヌヌメします。

農業委員会への報告義務

農地所有適格法人には、毎事業年度の終了後3ヶ月以内に農地の所在する農業委員会へ事業状況等の報告が義務づけられています。

 

農地所有適格法人の要件は3条許可申請時だけではなく、農地の権利を取得した後も継続して満たしていなければならないので、報告の際に農業委員会が要件を満たしているかの確認をします。

報告書類

  • 農地所有適格法人報告書
  • 定款の写し
  • 農事組合法人か株式会社は、組合員名簿か株主名簿の写し
  • 承認会社が構成員となっていたら、構成員が承認会社であることを証する書面と構成員の株主名簿の写し
  • その他農業委員会が指示する書類

 決算報告書の写し、所得税申告書の写し、出勤記録の写しなど