当所調べと、独断と偏見に満ちたイメージです。
地域、取扱業務、集客方法などによって変わるので参考になるかもしれないしならないかもしれないです。
農地手続は主に農地法3条・4条・5条許可申請があって、
3条 |
農地を農地のままやりとり |
申請人 2人(複数) |
4条(農地転用) |
所有者自身が農地以外に転用 |
申請人 1人 |
5条(農地転用) |
所有者以外が農地以外に転用 |
申請人 2人(複数) |
簡単な表にするとこんな感じです。詳しくは農地のページからどぞ。
建設業許可申請との比較
行政書士の王道業務・建設業許可申請と、農地法5条(農地転用)許可申請との比較です。
建設業許可申請の複雑じゃないパターンとの比較として見てください。
建設業許可申請 |
集客経路 建設業者からの紹介・他士業からの紹介・ネット |
依頼者属性 個人事業主・法人 |
申請者 1人 |
申請者年代 働き世代
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主な関係者 個人事業主本人・配偶者 法人代表者・事務員 |
継続業務 年度報告・経審・入札など |
許可後派生業務 各種変更届・建キャリ登録申請など |
関連手続 産廃収集運搬許可申請・電気工事業登録申請・建築士事務所登録申請など |
関連行政機関 土木建築部技術建設業課
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他士業との協力 法人成りのときに司法書士とか? |
行政書士人気 高い |
農地法5条(農地転用)許可申請 |
集客経路 行政書士からの紹介・他士業からの紹介・ネット |
依頼者属性 個人・個人事業主・法人 |
申請者 2人以上(譲渡人・譲受人・共有者・相続人) |
申請者年代 譲渡人 高齢が多い 譲受人 働き世代~高齢 |
主な関係者 当事者・相続人・親族・事業者の担当者・知人 ・不動産業者・工事業者・隣接地主・士業など |
継続業務 なし? |
許可後派生業務 工事完了(進捗状況・利用状況)報告・現況証明願 |
関連手続 農振除外手続・合意解約手続・相続届出・開発許可申請・景観届出・赤土届出・墓地許可申請などなどなど |
関連行政機関 農業委員会・産業振興課(農政課)・都市建設課・生活環境課・土木事務所建築班・保健所などなどなど |
他士業との協力 司法書士・土地家屋調査士・建築士など |
行政書士人気 低い |
他の許認可業務との大きな違い
1番の違いは申請者の数です。
多くの許認可業務では、その許認可をとりたい人や事業者が単独で申請しますが、農地法3条と5条許可申請は農地の売買や貸借のための手続なので申請者は譲渡人と譲受人の2人となります。未相続や共有の農地だともっと増えます。
申請者が1人の許認可手続と、申請者が複数人の農地手続とで何が変わるかというと、複数人だと利害関係が発生するというところです。1人の意思や都合では進められません。
許可要件はクリアできていても、話がまとまらず売買・貸借契約や申請手続までいかないということも珍しくないです。
当事務所の農地手続別の相談後の進捗状況です。
上から3条、4条、5条となっていて、緑の「業務完了」が手続までいけた案件の割合です。
相談だけで終わることもあるので、受任に繋がるのはそれほど多くないです。
データを出した時点で最もうまくいってるのは3条許可申請になってます。それでも3割くらいですね。
4条5条は2割ありません。
農地転用許可申請の業務完了割合が低いのは、農地の売買や貸借だけが目的で具体的な転用計画がなく許可要件を満たせない、手続に必要な準備(測量など)をする資金がない、関係者間で話がこじれるなど、いろんな問題が出てくるからです。
また、手続は譲渡人、譲受人双方から委任を受けて行うので、中立の立場で進めていきます。
最初に相談してきた方や報酬を払う方の味方ではありません。
どっちかが「行政書士が気に入らんからやめる」ってなったら手続までいけません。
書類作るだけじゃない
建設業許可申請はややこしくないやつなら要件クリアできてるのが確認できたら書類作って担当部署に1回だけ持っていけばいいですが、農地関係手続きは何回も何回も関係部署に確認に行きます。
なので、遠いところの業務を受けるのは難しいというか、時間と移動費を考えると報酬額をどうするか悩ましいところです。
中部や北部の農地手続の問合せがきたときは、できるけど近くの行政書士に依頼した方がいいはずと伝えますし、逆に中部などの農地業務できる行政書士から南部の農地手続の紹介があります。
また、現地を見に行ったり、当事者や関係者と会ったり、他士業と打合せをしたりと書類作成以外のことに多大な時間を使います。
そして、申請先が建設業許可申請のように県ではなく各市町村なので、画一的ではありません。
それぞれローカルルールがあり、同じ書類でも違う書き方を求められることもあるので、書き方もひとつひとつ確認します。
農地所有者は高齢が多い
元気な方ばかりではなく、病院や施設に入っていることもあります。
ちゃんと面談をして意思能力があるのか確認しないといけません。
うまく話せなくなっている方、耳が遠い方、字が書けなくなった方などにも対応していきます。
申請中や手続後すぐに亡くなってしまうということもあるので、所有者の状態や体調によっては意思確認できるうちに早く進めていくことも大事です。
関連部署が多い
特に農地転用だと他の手続が絡んでくることも多いです。
申請前の関連手続きの要否チェックリストみたいのが用意されてて、それに確認サインをもらうために各部署を回りまくることもあります。
それでやる手続が確定する(確定するとは言ってない)ので、案件によって他に必要な手続が変わるのも農地業務の特徴です。
農地法はいけそうだけど他がクリアできない。ということもまれによくあるので、他の手続も問題なさそうかまでしっかり調査しないといけません。
調査した上で、農地手続の前にやる手続、農地手続と同時にやる手続、農地手続後にやる手続を把握します。
今んとこやったことないけど旅館業許可申請なんかはいろんな法令が絡んでくるので似たような感じかもしれないです。
派生業務や継続業務はあんま見込めないかも
農地転用許可後は、工事完了報告などが終われば業務完了となります。
建設業許可だと派生業務として、建設キャリアアップシステム登録申請だったり、なんか変更があったときの変更届だったり、継続業務として毎年の年度報告などが見込めますが、一般的な農地業務はそういうのはないです。
あっ、申請した計画通りに工事しなかったときの計画変更手続とかはあるみたいです(なくていいのでちゃんと計画通りにやってください)
処分したい農地がたくさんあるとか、事業拡大のためにたくさん農地借りたいとか、農地関係の資金調達とか、ニッチな手続したいとかで依頼がきたりはあるかもしれないですね。
農地業務と建設業との関わりで言うと、農地を資材置場にしたいとか、手続いるって知らずに資材置場にしてて農業委員会から怒られたからどうにかなるか?って相談があったりします。
他士業との協力
最終的な手続が登記の名義変更や地目変更になることも多く、行政書士単独では完結しないので、主に司法書士や土地家屋調査士と協力していくことになります。
司法書士には、名義変更・相続・通行地役権など。
土地家屋調査士には、地目変更・測量・分筆など。
基本的には行政書士側で手続全体の流れを決めて、適宜他士業に確認・調査・手続をお願いして動いてもらう形になります。
なので、行政書士業務だけでなく、その前後の他士業の業務も問題ないか?ということまで考えて進めていかないといけません。
農地法の許可でても名義変更や地目変更も問題なくできるとは限らないです。
責任重大です。まれにやらかしてやべぇってなります。
最近は、これ行政書士業務ってか不動産業務っぽいな?って思えてきました。
本当の不動産業務の方がもっといろんなことに気を配らないといけないから大変ですけどね。
みなさん農地をやるべきではないでしょうか!!!
なんか大変そうな割にあんまおいしくない業務だと感じましたか?その通り!そんなことありません!
農地業務はクライアントやステークホルダーとのディープなコミュニケーションによりボトルネックをあぶり出しイニシアチブをとってコンバージョンするというナウでヤングなミッションなのです!アグリー?