農地法3条許可申請

小さい畑を借りて野菜作りしたい!え?ダメ?

 

農業目的で農地のやりとり(売買・貸借・贈与など)をするときには、その農地のある市町村で手続が必要です。

手続としては農地法3条許可申請や利用権設定があり、ここでは農地法3条許可申請を説明します。

下限面積要件廃止

3条許可申請で一番厳しかった要件の「下限面積要件」が令和5年3月31日をもって廃止されました。

 

その他の要件に変更はありません。以下で説明します。

農地のままやりとりするための手続

原則、農地がある自治体の農業委員会で手続をすることになります。

 

申請すれば誰でも認められるような手続ではなく、 

農地法「知人から小さい畑借りて野菜作りしたい?自分の世帯が持ってる農地でやったら?農地持ってない?じゃそれなりに農業できるくらい農地確保して。そんなにいらない?じゃダメ」

こんな感じです。

 

自治体がやってる市民農園なんかの利用を検討した方がいいかもしれません。

 

主な要件は、全部効率利用要件・農作業常時従事要件です。

全部効率利用要件

新たに経営農地を増やすには、既存の経営農地(借りてる農地も)全てを利用して耕作の事業を行っていると認められなければなりません。

 

  • 既存の経営農地全てを利用

経営農地にほったらかしで草ボーボーの状態の農地(休耕地と認められる場合もあり)や違反転用の農地があれば「既存の経営農地全てを利用している」とはいえません。

 

農業に向かない農地は農業委員会が認めれば非耕作地ということで全部効率利用要件から外すこともできます。

 

  • 農業経営の状況

何を作るのか、経営農地と申請農地の面積に対して農業従事予定人数や農業用機械数が適切かをみます。

許可後の経営面積などにもよりますが農業従事者が未経験者1人で、農業用機械もなくても許可がおりないとは限りません。

 

申請農地と経営農地全ての営農計画書を作成し、計画が妥当か審議されます。

農作業常時従事要件

農作業に必要な日数を確保して、ちゃんと農作業に従事できるかも審査されます。

申請者だけでなく、世帯員等も含めてどれだけ農作業に従事できるかを申請書類に記載します。

 

農作業従事者が申請者1人の場合、サラリーマンで週5勤務、土日だけで農業するというのは認められないかもしれませんが、自営業者や会社経営者で農作業の時間をしっかり取れるのであれば可能性は高いと思います。

 

また、沖縄本島在住の方が離島の農地を借りて1人で農業をしたいなど、現実的でないと判断された場合は認められません。

手続をしていない契約は無効

農地の売買、貸借、贈与などをしても、なにも手続をしていなければ契約は無効で、登記名義の変更(所有権移転)もできません。

 

土地の取引や活用をする場合は、農地かどうかを事前に確認してください。

農地と知らずに話を進めてしまうと、農地法の要件を満たせず契約内容や登記名義変更などの目的が達成できないとなってしまうこともあります。

 

口約束だけで農地を借りてたけど突然返すように言われ、ちゃんと手続してなかったので不本意ながら返すことになってしまったという事例もあります。

手続の流れ

①面談

お話をうかがって手続の内容などについて説明します。

土地の登記(全部事項証明書)や公図(地図証明書)など参考になりそうな書類があればお持ちください。なければ手ぶらで大丈夫です。

 

②調査

調査費を頂いてから土地の視察や関係各所への確認を行います。

 

③調査結果報告・見積提示

目的達成の見込み、手続の流れや見積などについて説明します。

報酬の着手金を頂いてから書類作成に進みます。

 

④書類作成

 

⑤申請

受付は月に1回で市町村によって受付期間が違います。タイミング次第では次の月に申請になります。

 

⑥許可(申請から1ヶ月ほど)

残りの報酬と諸費用などを頂きます。

 

⑦(登記名義変更)

土地の所有者が変わる場合は司法書士に名義変更を依頼してください。こちらから紹介することもできます。